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2022年4月1日金曜日

スーパーロボット大戦30の感想

 DLC追加の気配もなくタイミングを逃しそうだったので、現状書き綴ったものだけでも載せることにしました。なので大分とっちらかってる文章になってます。



  • レイアース

やはりというか前作Tでオミットされていたのが余程意見されていたのか、ファーレン、チゼータの面々をちゃんと登場させたのは律儀でした。海ちゃん風ちゃんのキャラクターの掘り下げは勿論、セフィーロの面々も登場させたり巨大サンユンというジョークかと思うユニット加入もあり、スタンダードな世界観とはマッチしにくい作品でありながら精一杯扱おうという気概を改めて感じさせられる内容でした。セフィーロ召喚から魔神入手までの流れこそバッサリカットしていましたが、これも加入による自軍の行き来やインターミッション中の表現の限界といった前作の反省、或いはVXTからの連作という意識ならば英断だとは思います。生身の戦闘要員が多いので一堂に会する機会がないのが残念、とTの頃に書きましたが、今回はレイアースのサブミッションでその機会が与えられていて嬉しかったです。

しかしながらオートザムの加入、セフィーロの魔物やデボネアの存在理由が地上世界の負の念、配下に置いた他作品の敵軍のポジション、INFINITYの繋がりと前作と被っているネタが散見され、クロスオーバーの試みに関して評価は厳しくせざるを得ないと思いました。戦闘アニメーションにもカットインが複数追加されていたり、異世界勢の登場もありボリューム面ではパワーアップして、補完という点では概ねプラス、前作と同じシチュエーションが繰り返されたのは少しマイナス、といったところでしょうか。



  • コンバトラーV

PV時点でほぼ予想のついていた原作終了後の参戦で、マジンガー・ゲッターチームの後輩という立ち位置こそあれどシナリオでの活躍は会話程度。それでもコネクションで留守番している四ツ谷博士の地球保護思想がちゃんと垣間見えたり、悲劇のボスキャラであるガルーダや最終盤ポッと出のデウスの名前も見えたりと原作への配慮は節々に見られました。

御多分に漏れず、この作品も新御三家との前史の繋がりが厚く敷かれており、マジンガーチームやゲッターチームを先輩として敬うバトルチームの姿はシリーズでも恐らくとても珍しい光景だったと思います。「造られた命」の話がある毎に豹馬の口からガルーダの名前が出てくるのはシナリオの再現もないことから若干のしつこさを感じましたが、同時期のDDで原作再現がなされたことも考えると賛成反対は五分くらいかなとは思います。

「バトルマシンで戦ってから合体の流れがロマン」とは現寺田SVの力説するところではありますが、これは確かに原作のように基地潜入や人質解放といった個々のパイロットとバトルマシンの能力が要所要所で役に立つようなシチュエーションが用意されていれば、原作の流れを汲んでいなくてももっと存在感を出せたのではないか?とは少し思いました。メカの活躍そのものが根幹をなしている以上、魅力を最大限引き出す為には昨今のコスト問題が逆鞘になってしまっている作品かなと、原作を見てみて改めて深く考えさせられるものでした。

後にボルテスVが新たに登場し、DLC参戦の作品と合体攻撃が存在するという異例の扱い?になりましたが、その際のシナリオは五人の立ち位置や関係を改めて確認させるものであり、キャラクター性という点ではそれなりの存在感を現せていたと思います。相変わらず複数人乗りによる潤沢な精神コマンドに移動後使用可能なMAPグランダッシャーも加わりユニットとしてのオンリーワン性能が高いのは良かった点です。



  • Vガンダム

宇宙上がり以降のリガ・ミリティアとザンスカール両陣営の人物・機体共に大勢登場出来ていたのは素直に凄いの一言。ルぺ・シノの恐怖の拷問、裸のお姉さんたちことネネカ隊の顔見せ、ほぼノーダメで事なきを得たカテジナの刺突(専用立ち絵付き!!)、バイク乗りの天国を夢見て後に味方としても出現するドゥカー・イクなど、数多い原作エピソードの中から妙に印象に残る台詞やシチュエーションの選出の理解度が高かったです。

権力争いから各々で他勢力とコネクションが多いザンスカール帝国の内情だけでも見ていて飽きさせないのに、オペレーションヘブンズゲートの主力兵器として持ち出されることになるカイラスギリーのビッグキャノン、暴君か如き所業の地球クリーン作戦もガンソードやオリジナル勢の介入によりなんと理由付けがなされていたり、敵味方や第三軍と立場が二転三転するエンジェル・ハイロゥの重要性とイベントの盛り上げ方の工夫…などなど、十数年ぶりにコンシューマーに復活参戦を果たした祝福かの如く、クロスオーバーも交えてそれに相応しい巨大な規模で取り扱ってくれた作品でした。後に判明しましたが、寺田SVがプロデューサーとして最初と最後に携わることになったガンダム作品としても、有終の美を飾ってくれたと思います。

オリファーのアドバイスから始まるヴァンによるウッソの母親の救出劇は原作の悲劇的な展開を回避するスパロボらしい場面である上で、サブキャラの活躍と両作品の原作を同時進行してみせたりと完成度の高いシナリオのひとつでした。当然のようにシュラク隊やオデロ、リーンホースJr.のクルーもゲームエンドまで全員生存したまま、原作同様の展開が続くが故にやや説得力に欠けるもののカテジナやクロノクルも条件付きで自軍入りしてしまう等、物語上の戦死者が目に見えて減ったこともあり「狂気の戦場」という原作の特色はマイルドになっていき、「大切な人を守る為」という信念がガンダムNTのヨナを中心に他作品の人物達とも響き合って、ウッソにとっては救いのある前向きな成長物語に仕上がったと思います。



  • エルガイム

前述のVガンダム同様、原作約1クール後の時系列から参戦&敵味方キャラ・メカ共に数多しと復活っぷりを見せつけたエルガイム。腐れ縁のギャブレー君の途中加入も概ね予想はしていたけどアシュラ・テンプルも合わせてやはり嬉しいところで、逆に予想だにしていなかったネイ・モー・ハンやクワサン・オリビー(!?)の加入は驚くばかり。ネイの事の顛末も丁寧に描いていて、他者を利用し支配するポセイダルやギワザ・ロワウに対して「人の命を大事にする」を信念として立ち向かうダバだけに、敵が生存し加入するシチュエーションがこれでもかと言うくらいに似合っていました。

他にも原作でのコスチュームが選択制のレッシィ(自分は絶対に離脱前です)、アムの頑張りが印象深いMARK-Ⅱ素体強奪のエピソードもあり、レッシィの離脱合流以前のやり取りを加入後に再現してくれてたり、フル・フラットのいきさつも隅々まで語られたり…話の規模こそエルガイム周りでほぼ収まったものの、原作の特色のように女性陣の扱いに一層気合が入っていたように思えます。反面レギュラーメンバーの中ではダバとは最初から最後までの付き合いだったキャオのみ非戦闘要員なのが惜しい点、サポータースキルは終始便利でした。

ダバ達一行若者の成長譚という点に関しては、太陽系に赴いたことでペンタゴナ全域を支配していたポセイダル軍のスケールが相対的に本編のそれより縮小気味であったり、反乱軍指導者としての苦悩、セムージュの裏切りから垣間見えるダバの人物像や形成される信頼関係といったエピソードもなくなり、またアムやレッシィの未熟さ故の暴走が抑え気味だったりと、ペンタゴナという原作の世界観から離れたことで作品のシリアスさが多少なりとも薄れたようにも思えます。この辺りはシナリオを書いている上でも重々承知しているようで、「太陽系にいる上ではヤーマンの名は然程意味を持たない」の下りをもって改めてカモン・マイロードとしての決意表明をしてみせたりと、ドライクロイツ在籍という立場の違いでも持ち味は活かそうという心意気は評価したいところです。

ともあれ精神制御後のオリビーの容態も安定している(ヘッドライナーなので当然か)ようなのは、ダバが表舞台に立たなくなった未来を打ち壊したとも言えるし、最終話再現MAPの副題の「ドリーマーズ・フォーエバー」の名の通り、本来辿る形でなかったとしても、ダバの未来に希望を残してくれている終わり方なのは、ある意味未来を断たれた若者である原作のダバの物悲しい結末を見届けた自分にとって、溜飲が下がる思いでした。



  • マジェプリ

今回の作品群ではゲーム内のポイントがかなり高かったと思う作品。最大の理由は今回のタクティカルエリアセレクトと噛み合ったこと。ヒーローに憧れるイズルのおかげでスーパーロボット乗りへの尊敬や意気投合があり、養成施設育ちという共通点から普段の会話には少し出辛いヨナへ声を掛けてあげたりしたのも印象深かったです。世界情勢や知識の披露も個人スキルの高さ=学びがあるという点で多く参加出来るし、顔立ちの良い男性女性が絡むと目に掛けるスルガやタマキだったりインターミッション中の会話が多岐にわたる今作ではバラエティな作風であるという魅力を充分発揮出来ていました。笑いに回ると顔芸が多い事で楽しい作品であったのが、立ち絵のバリエーションの豊富さもあり拾われていたのが素晴らしかったし(イズルのスケッチとか)、戦闘中の掛け合いの大幅増量もあって、作品の特色そのものが近年のスパロボの演出の強化方針と噛み合った好例だったと思います。

本筋に関してだとチームワークの成長を描いた原作の小規模エピソードがやや削られ気味でしたが、今後の続投も視野に入れるのであればチームとしての集大成とも言える劇場版が控えているのでそちらで重点的に扱う可能性も捨てきれないでしょう。などと言うものの全体的にはプラス点で大きく上回っているのでかなり満足しています。

ウルガルは組織自体が宇宙にとって災害的な存在である為、他作品勢力との協力や探り合いといった要素がないほぼ代わりにペンタゴナすら脅かす強大な勢力であるという規模感は大事に堅実に描かれていました。難点を挙げるとするならば単一ユニット式という制約上、ラビッツで固めてしまうと数少ない出撃可能枠が埋まってしまうこと。レッドファイブ単体でも合体攻撃は使えるし、攻略という点では活かしやすいのだけれど、やはりチームラビッツは6人揃いで戦わせたいというのが性。しかし今作は攻略するマップそのものが膨大なので、長く遊ぶようなら幾分かやりくりはしやすいでしょう。



  • ジェイデッカー

広域ロボット犯罪、という体で最序盤から本筋一本でシナリオの再現が行われていたのが印象深い作品です。しかしそれと同時に、タクティカルエリアセレクトと適合する可能性があったことが惜しまれる作品でもありました。

まずブレイブポリスの面々が原作再現マップではない普段の会話に参加する度合いはあまり多くなかったこと。覇界王での「新生勇者」の役割を担っている側面もある為、デッカールームや格納庫で気軽に話せそうだったGGGブルーの面々や、覇界の眷属から復帰するハズのGGGグリーンの面々が今作ほぼ不在なのも痛かったとはいえ、「巨大兵器の運用を第一とした戦艦」であるドライストレーガーでなら、例えば常に大規模な通路や運搬路が設けられているなどしてデッカールームに赴かなくても他作品のキャラ達が積極的に絡んでくれるかも?という期待が少しあったため寂しさがありました。スーパーロボットに囲まれる空間ではエルに負けじとはしゃいだであろう冴島総監が基本別行動なのもシナリオの都合上仕方ないとはいえ惜しい気持ちでした。

原作エピソードという体でなければ表に出にくい、それならば原作準拠のサブミッションを多くしてくれて活躍の場を増やしてくれれば良い…とプレイ当初は期待していたのが若干叶わず、ブレイブポリス隊員の加入といった必要最低限に留まる規模となっていました。「一犯罪事件に対してわざわざ自軍が関与するのか」というスケールの問題に関しても先に述べた広域ロボット犯罪という大義名分があるし、何よりも今回のドライクロイツの出張スタイルと噛み合っていただけに悔やまれます。これら全てはジェイデッカー自体が勇者シリーズの中でもサブも含めた各ロボの人格・小話のウェイトが非常に高い作品だったことに起因しますが、私的には強引にでもブレイブポリス隊員は個々の会話やイベントに参加させてキャラクターをより引き立てて欲しかったです。

更に自分のこだわりを述べると、勇太と自分の事で思い悩んでは深く落ち込み、挙句の果てには家出をしたりという原作のナイーブな一面は抑えられ、全体的に「物分かりの良い後輩」という立ち位置で収まっていたデッカードの描き方にも少々の物足りなさを感じました。デッカードが勇太達家族の一員として認めてもらうまでのお話が原作にはありますが、次回以降チャンスがあるのなら是非とも扱って貰いたいです。

とあれこれ不満は述べたものの、メインミッションでは勇太との出会いからフォルツォイク親子との決着やハイジャス人への声明からゲームのラストに繋がっていくなど、「造られた命のアイデンティティ、善と悪の表裏一体」という根っこのテーマに関してはクロスオーバーが充実していた上で大きく描かれてかなり好印象でした。とにかくキャラクターや人柄(ロボ柄?)に関しては「原作の魅力の全てを表現することは出来ない」と制作側が常々述べているスタンスもあり、無理は承知の上ですが、個人的にはあと二歩、三歩先が欲しいところでした。

戦闘時にはブレイブポリスの本領発揮といったところで、デュークやファイヤージェイデッカーは勿論、四人合体のスーパービルドタイガーや武器扱いなもののしっかり声も付いてるガンマックス、IFのがった攻撃やキャノン砲変形まで再現したシャドウ丸、条件加入のカゲロウやビクティムと、戦闘演出に関しては大いに楽しめる来栄えでした。ほぼイベント用とはいえガインがユニット化されていたマイトガインの前例があった分デッカードのユニット化が無かったのだけは残念でしたが、台詞の端々でジェイデッカー以前にデッカードであることを協調されていたのは安心しました。チームとして運用する場合は出撃枠と相談になりますが、合体攻撃等の見栄え重視で固める意義は充分にありました。



  • ナイツマ

「ロボットクレイジーなエルが夢の国に降り立ち至福の時を過ごす」このゲームでの活躍はほぼこの一点に尽きます。登場キャラクターは多くジャロウデクとの戦いも一通りはこなしているものの、西方暦世界でのロボット開発という原作アニメの大筋に関して丸々と言っていい程放棄してしまい、エルが名立たるスーパーロボット達を前にひたすらにテンションを爆上げしていく様子が終始描かれてるという基本的に原作を基幹とするのが主であるスパロボの方向性とは逆方向をあえて突っ走っているものでした。

とはいえ、たとえスパロボ世界での自軍を率いて本編を通しで再現したとて創っていくメカの特別さは当然薄れるでしょうし、原作世界観に注視した扱い方が必ずしも良い方向に行くとも限りません。何よりスパロボシリーズを手掛けるスタッフにとって個々の作品メカ・ロボットの魅力なんてものは当然熟知しているワケで、「エル君視点」の解像度を非常に高いものに仕上げてみせた、という今回の扱い方は在っても良いIFだと思いました。生前の現実世界に酷似した街並みでなんの躇いなくロボットトイを探しに行く姿は一周回って清々しいもんでした。転生しただけに。

「戦術兵器の技術革新という悪とも捉えられる所業」や「行動原理が全てロボットなので道徳心は最低限」と一途すぎる故にダークな面も垣間見えるキャラなのが、そこら辺を表現していた開発史は前述の通りオミットされ、他作品のシリアスな場面では空気が読む上、時にエルなりのアドバイスを送ったりとアクの強さがそれなりに薄められ、見る人によって共感や癒しを得られる存在になったと思います。まぁ根っこは「この世界を楽しむ」というスタンスなので本人はあえてそうしてる、とも取れますが…それはそれで本来エルらしいので美味しいですね。

当然ながら本人のパイロットとしての異常な能力値はしっかりとパラメーター上で再現され、イカルガには広範囲のMAP兵器付きと正に鬼神の如く活躍していました。



  • 覇界王
「ガオガイガーの10年後」という設定に関しては上手く活かしていたと思う内容でした。前作Tでガオガイガー(TV版)が参戦していたこともあり、続投の御三家周りに新たに加わる仲間といった風で続けて触れた身としては人物関係も新鮮に感じられたし、後輩にあたるブレイブポリスの誕生経歴がFINALのGGG追放から地続きでいたりと、キャラクター同士の接点は予想してたものも意外なものも多々あり見ていて楽しいものでした。特に印象深いのはアムロと蛍汰の少年時代のエピソード、本作の前史膨らませ系なイベントの中では随一の出来でした。

と聞こえが良いのはここまでで、本作の覇界王は原作から人物、メカ、エピソードと要素の数々が削られています。両GGGの勇者ロボの殆どは未ユニット化、覇界の眷属打倒のエピソードも1、2回のみ、凱の覇界の眷属化という最終盤の展開も吹っ飛ばし、ソムニウム達が敵対する理由もエヴォリュダーであるだけに書き換えられ…と「覇界王」という作品の魅力を活かせていたかと言われると残念ながら首を横に振らざるをえないものでした。

「俺はサイボーグだ!」と自信満々に叫ぶエヴォリュダー・凱や、竜馬達が持ってきた以外に特に言及のなかったV2を原作の「チャンディーの置き土産」と発言する蛍汰と、台詞の内容が原作やそもそもゲーム中のシナリオと噛み合ってないものがあったりするのも不信感が募ります。クロスオーバーの要であったゲッターロボも敵勢力の襲来の理由付け程度に収まっていたのも痛く、トリプルゼロという宇宙全土を覆う未曾有の危機の規模感は大幅縮小、ポッと出の勢力を抑えた程度の印象の域を出れなかったです。

原作では人類絶滅までギリギリのタイムリミットが設けられるクラスの大災害なのに対して、タクティカルエリアセレクト制であっちやこっちやに赴いている余裕があった(これに関しては覇界王に限ったことではありませんが)というのも噛み合わない原因だったと思います。ただそうなったとして、必然的にシナリオのシェア率も上がってしまうので、正統一本道で眷属を打倒するのが正解とも言えないので難しいところ。「人と文明の在り方」を問うてくるガオガイガー・ベターマン両作品の完結編としてのテーマもマジンガーINFINITYに押され気味、最終盤「支配に対する抵抗」といえば本作のボス格が頻繁に見せてくるワードなのに対して主張出来なかったのも歯がゆいところ、キャラクターを扱う、原作をなぞるという二つの大きな点で不遇と言わざるを得ない扱われ方だったと思います。

…とはいえ「一作で原作覇界王を隈なくエピソードも再現してユニットも全て実装!」と言うのは事情が例え今でも前でも土台無理は話で、やろうものならその労力はTV+FINALクラスに匹敵、或いはそれ以上になることは容易に想像が付きます。そんな中でも最強武装に10人以上の音声収録もひっさげて参戦したファイナルガオガイガーは一種の到達点とも言える超絶インパクト、敵対理由が変わったからこそ加入出来たラミアとソムニウム達だったりと、期待の的はまだまだ外していないなと思いました。原作サイドから好待遇な上、世代認知度や人気も伺える勇者シリーズ、故に今後はどう展開していくのかは期待しています。



  • 戦闘演出に関して

前情報から散々話題にしていましたが、大きな変化としては戦闘演出時のパン(横入り)が一新され、個々の移動や構え、カメラワークに切り替わったことです。現行のDDは特にこの手法に近いものを採用していますが、アプリゲームからも良い部分は吸収・還元出来ていたのはとても良い点だと思います。それぞれの機体の特徴も垣間見えたりと非常に楽しめました。

自分のゲームプレイの楽しみの一つとして挙げてるのが戦闘時の特殊台詞ですが、今回はTから更に増加傾向でもはややりすぎの域。ユニットの精査も考慮すると2、3週の正規のプレイでは到底コンプリート出来ない圧倒的な量です。話の上での組み合わせから目星がつくものから、初見では大凡試さないであろう組み合わせだったり様々。

中でも印象に残ったのは…

〇一番盛り上がる名指し且つ援護のパターン

・勇者繋がり、ガンダム繋がり、実質ペアのナイツマ&レイアース

・言わずもがなグリッドマン&ULTRAMAN(DLC)

甲児・竜馬に加えてアムロも新規で加わり相互で援護台詞が補完される(!)

・上記に付け加えてガオガイガーやコンバトラーも援護台詞多し

・かつては共同戦線も張った、の一言からカレンとカミーユでの援護台詞(!?)

〇特定のボス格に相対することで間接的に名指しで呼んでくれるパターン

・ルルーシュ>オリビー「妹を救おうとするダバの想い…受け取った!」

・イズル>ギャブレー「ダバさんの自称ライバルが来た!」

・ウッソ>ノヴァ「光さんには、絶対に近づけさせないぞ!」

・アムロ>ラミア「凱を信じられないと言うのなら相手をする!」

〇その他粋なものから面白いものまで

・ヴァン>ザンスカール兵「俺がお前たちのギロチンだ!」

・エル>真ゲッタードラゴン「真と付くからには、偽物がいるのでしょうか…?」

・海>ヘビーメタル「ヘビーメタルなんてうるさいだけじゃない!」

・竜馬>ゲドラフ「そのタイヤ、パンク程度で済むと思うなよ!」

などなど、数に圧倒されて記憶が上書きされているのが殆どなのでこの他にも多数存在していますが、とにかく戦闘を飽きさせない工夫としては極上の一言に尽きます。近年、DVEイベントの削減がこの辺りに回されているのではと邪推しているのですが、仮にそうだとしたら、個人的に戦闘台詞はやや減り傾向でもいいかも…とは考えています。なんにせよ本作のそれは大変に楽しませて頂きました。

キャラクターボイスの収録はどの演者の方も筆舌に尽くし難い熱演でしたが、自分が今回一番のお気に入りだったのは、平松広和さん演じるダバ・マイロード。ダバというキャラクターが好きなのも勿論ありますが、戦闘の節々で見せる富野節の掛け声やリリスとのやり取り、オリビーを追いかける焦りの台詞、バスターランチャー最大出力時の「うおおおおおおおっ!!」の雄叫びや、「オリビー!必ず助け出す!」「消えろ!ギワザ!」「終わりだ!ポセイダル!」といった専用台詞、クエスターと相対した際にあまりにも力が入りすぎている「ここで終わらせる!!」から「スト…スト…やるのね!?」や、キャオの代わりに行う次回予告とコメディなところまで、幅広いアプローチとそれに見事応えてみせている氏の演技の数々がとにかく素晴らしすぎました。ゲーム外の話にはなりますが、「物凄く久しぶりの収録、あまりの興奮につい力んでしまった」などの平松さんのエピソードも込みで聴いてみると尚、アツく聴こえる台詞の数々になってくるかと思います。



  • インターミッション中の演出に関して

原作ムービーは一部が実装、専用の立ち絵や1枚絵も原作準拠に様々あったりと、全体の量としては前作Tとそれほどの変化はないように感じました。「戦闘アニメーション以外の演出強化も課題」とは前作攻略本のプロデューサー談でしたが、今回はタクティカルエリアセレクトの作りにリソースの多くを割いたように見受けられ有言実行とはいかなかったようです。DVEやBGMの変化といった従来の側面も着実に薄くなりつつあり不安要素の多いところ、次作以降は新しいアプローチに期待したいです。



  • オリジナルに関して

エッジとアズのどちらが主人公かで変わる要素はミツバとの関係が中心で、カールレウムやクエスターズとのやりとりでは積極的に追及していったりする場面は元々の性格から見るにどちらかというとエッジ寄りのシナリオにも見えましたが、個人的には主題歌二曲が大変気に入ったアズに軍配が上がりました。

オリジナル勢力のクエスターズ、及びクエスターは「異空間を拠点としている」「己のみで未来を結論付ける」「節々にメタ的な要素を持ち合わせている」と個人的にはBXのジスペルを彷彿とさせるラスボス戦が印象深かったです。監査官という立場上30世界の出来事、詰まる所30の参戦作品を丸めて否定しにかかってくるため自軍が一丸となって打ち倒すに相応しい、清々しいまでの独善さと堂々とした立ち位置なキャラクターだったと思います。分岐によってはカールレウムの加入と離脱のイベントも挟まる為盛り上がりも一入。カールレウムに生まれた変化に関しては本筋で絡ますならむしろグリッドマンよりジェイデッカーでは?とも思いましたが他作品も混じって渋滞気味だったのでバランス的には正解だとも思います。



  • タクティカルエリアセレクトに関して

「順逆自在なストーリーが故に連続性が薄くなり個々のエピソードのクロスオーバーが減るのではないか」タクティカルエリアセレクト制が発表された際、話数というボリューム自体には期待したものの裏ではそんな不安を抱えていましたが、いざフタを開けてみると悲しきかな少なからず的中する形となっていました。

「選択制にしたことで好きな作品ユニットから味方に出来る」という一見聞こえは良い公式の謳い文句でしたが、逆に言えばどの作品が絡んでいようと差支えない、当たり障りのない理由で自軍入りするということで、どんなクロスオーバーを交えてゲームに登場するかという盛り上がりが欠けることになりました。先に多くのキャラが加入するかどうかでイベント内にも変化こそ現れますが、その多くは途中の会話が挿入される程度に収まっていて大元のシチュエーションは作品単体で進行するのが多くを占めていました。後継機の入手や新武装の追加というゲームを進める中でも期待に胸躍るイベントに関しても、幾らかをミッション制にしたことで物語性が弱くなったものも残念でした。正直に言えば前作Tからパワーアップイベントに関してやや不得意と感じさせるシナリオだったのが、システムの影響こそあれど逆に思い切りが良くなってしまったのは大きくマイナスポイントでした。

直接進行に影響しないサブミッションはクロスオーバーの整合性などの都合上当然原作寄りなエピソードが中心になりましたが、中~長期に渡って話を展開していたり行動の制限が多少緩いVガンダムやエルガイム、マジェプリといった作品は深みを増した一方で、短く一本道かつ間に入る余地を見出しにくい復活のルルーシュ、一種の隔離状態であるナイツマやグリッドマン、本来あったであろう原作の要素がゲームの制約上大きく削られている覇界王といったの作品群がどうしても比較対象になってしまうので、良くも悪くもといったところでしょうか。

悪い話から主に先に挙げましたが、話数や会話のボリューム自体は決して悪いものではなくそれ自体はむしろ大いに楽しんでいました。キャラが違えば会話も変わる、というのも2週目では特に顕著でテキストチェックの間でも発見は沢山ありましたし、多くのキャラクターと絡むことはキャラ同士の共通点も従来以上に見えてくるので、原作段階で予想していたやり取りの多くを「期待通り」にやってくれたというのは事実です。従来よりも急がずのびのびと話を作れることもキャラの個性を引き出せる機会を多くし、主要エピソードの無いバトルチーム、原作再現自体は早期に終わるコードギアスの面々、原作舞台に滞在しない期間が殆どの内海&六花…などなど、スパロボというゲームの仕様上、ストーリーの再現が幾分か省かれてしまう作品というのが否が応でも一つや二つは生まれてしまう中で、より多くのキャラクターに存在感を与えるアイデアを、ひとつのカタチとして打ち出したことは良い配慮とリスペクトの精神だと思いました。

若干話が逸れますが、同一世界に同居出来ている理由や道筋の為よりも「場面を印象付ける」為に世界観のクロスオーバーや設定は在って欲しい、

原作のキャラや機体がどれだけ出てきて、原作のエピソードがどのくらい再現されているかはあくまで一つの指標であって、究極的に言えばそれらが在った上で、個々のシチュエーションから逆算して盛り上がる為の全体像や話の積み重ねを作って欲しいのが個人的なシナリオの好みにはなってしまいます。大きな場面でのクロスオーバーやそれに繋がるプロセスの重視から外れた路線である今作は、結論としては自分に少し合わなかったと感じます。世間の反応がどうあれ、種類や量よりもより味の深みを強くして欲しい、というのが自分のわがままなお願いです。



  • 広報やサポート・仕様に関して

「初報で作品の全てを発表するのではなく先んじて断片的に見せて話題性を作る」という情報の出し方にはとても期待させられたり、予告したPVよりも先にエルガイムMarkⅡの姿を見せたり、かと思えば事前情報の最終お披露目が発売三日前と動画サイトでページを開こうものなら本編のフラゲが流れてきても可笑しくないスレスレの日程だったり、上手いのか下手なのか解らない前情報戦に翻弄されたのは記憶に新しいですが、最悪の事件といえば、本発表前にバンダイチャンネルで参戦作品が全て判明してしまったことでした。

「ネタバレを出されるのは嫌い」との発言があったり、初報の際に「覇界王は予想外だったはず」と言ってたり、プロデューサー改めスーパーバイザーも事態を重く受け止めていることは確認出来たので、今後のタイトル発表時には二度と起こさないよう善処してもらいたいところです。第一印象は大事とは言いますが、前作から空いた期間の長さもあって正直これが無ければ30全体の印象はあと何割かくらい良いものになっていました。

DLC①追加のアップデートで起きたレッドファイブ消失のバグも、復帰出来るまでの間の話で戦闘に出して台詞を確認する必要は当然あったので個人的には大分迷惑を被りました。それ以外にSteam版をプレイした際に自分が見つけた不具合としては、

○カスタムサントラで同じ曲を設定しているのにも関わらず一から曲が巻き戻される

○誤字脱字のあれこれ

○ゴルディオンフィンガー演出時に命の台詞が読み込まれない

○R1ボタンのカーソル高速移動が終始効かない(他の機能でボタンの反応は確認済み)

くらいで、これらの殆どはDLC①アップデート辺りで修正はされているものだと思いますが、これ以外にも特定条件下でのフリーズ、戦闘アニメーション表示のバグなどの不具合の報告が今現在でも相次いでいるようで、自分のプレイしたスパロボの中にはそういったことが起きたタイトルも多少あるとはいえ、今作のインフラ周りはその中でも相当に悪いと言わざるを得ません。VXT三部作をマルチで展開してハードの経験があるにも関わらずこのような事態になってしまっているのは、DLCの追加キャラクターというそれまでに無かった形体であったり、従来の一本道のシナリオではなく、プレイ状況が多岐に及んでしまうセレクト制であることに起因していると考えてます。大見得を切ったタイトルで悪印象がついてしまうのはシリーズが続いて欲しい身としては不本意ですし、これから先多少の不安を抱えていくと思います。しかし、そもそもタクティカルセレクト自体、「ヘビーユーザーを満足させる為のボリューム面の強化」という以前に、「好きなキャラクターを早期に加入させることが出来、ゲームクリアの体験も味わいやすくする」というライトユーザーの引き込みや継続プレイを目的にしたものであって、これからもシリーズを存続させていくという開発サイドの意思の表れに他ならないので、とにかくシリーズの継続を第一に考えて欲しい自分にとっても、全てを一概に否定出来るものではないですし、お互いに共存する形が出来ていくのが望ましいと思っています。



  • 総括、今後について

新しい試みも混ぜつつ、従来要素もハイスタンダードでまとまったスパロボだったと思いますが、奇を衒った展開やシチュエーションの結びつきの欠け具合、全体的に盛り上がりに欠けるシナリオが自分の好みと合わなかったのが残念に思うところでした。

内容を振り返ってみると自分は前作のTの方が大分楽しんでいるようにも見えますが、製作期間の考慮や先の期待も込めていたのもありますし、今回に至っては前三部作が海外で成功を収めたとはいえ良い結果に結びついたようには思えず、OGシリーズの事実上凍結、DD制作陣の逼迫具合と、自分の好みに合うタイトルが出るかどうかより、そもそもシリーズの存続そのものが危ぶまれている現状が見えてしまっているのでその差だとも思います(バリバリ色眼鏡ですし勝手に期待して勝手に裏切られた、というのは重々承知していますが)。

あれやこれや垂れましたが、結局スパロボをどうするかはスパロボ次第なので、淡い期待を持ちつつ今は次の何かを座して待つのみです。






ところで本編あれで終わりなの?


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