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2025年9月9日火曜日

【スパロボY】スーパーロボット大戦Yのクリア後の感想【レビュー】




1週目・サブシナリオ全通過時点での感想です。





  • 視野の広いシナリオ作り

味方側の結束や力合わせはいつものことながら、敵軍同士の結成・瓦解・探り合いも多く描かれていて深みが増していた。オリジナルキャラが個々の転換期に至るまでに版権キャラとの関わりが強調されてたりと、権利とオリジナルの距離感やバランスは特に好みのレベルだった。

体験版時点の評価で女性をチョイスしたものの、途中加入する男性を見ると中々良い造形をしてそうで2週目の期待が少し上がった。後継機の武装なんかも変わりそうな雰囲気だし。


  • 演出面のアプローチ

体験版でもあった場面毎のスチル(一枚絵)は本編中でも健在で、新規参戦どころを中心に枚数が爆増。ダイナゼノンの過去を泳ぐ下りやユンとメイの通話と、個々を印象付けたりテキストベースでは伝わらない場面の補完だったり至れり尽くせり。こんなんなんぼあってもいいですからね。

精神コマンドの選択や各種カスタマイズにグラフィックが差し込まれたりと、とにかくキャラクターが映り込むよう意識した画面作りで華やかになった。代わりに従来の操作性が変化した部分も多いのでこれは慣れかはたまた次回で改善かな?

アシストクルーがデフォの立ち絵だけで少々寂しい…と思いきや、MAXレベルまで育てると派手で素敵な専用ビジュアルに変化するご褒美付き。主人公が使用すると専用台詞も出るけど、どうせ音声のないテキストなら他作品同士で色んな組み合わせを用意してくれたらいいなぁ。


  • 想定外だったシミュレーションゲームとしての楽しさ

元々スパロボに難易度を求めていない人間だったけど、今回はノーマルでも突撃一辺倒じゃ無双出来ないバランス。これが中々良い調整がされていて、難しくなく簡単すぎずでユニットやアシストの運用を考えるのは楽しかった。後述するユニット単位の武装数も相まって、没個性化から脱却する試みも良いと思う。


  • 個々の武装数やそのアニメ

前4作(特にXやT)の「武装2つ問題」に相当物申されたのか、目を通した限りでは最低でも3つの武装を味方側の殆どの機体で用意するようになった。アニメーションのクオリティの良し悪しは大きく変わらず、しかし30で早送り不能だったムービー箇所も早送り可能になったり、個々のエフェクトやコンテの分業が推測出来たり(Zガンダムのロングサーベルなんかが顕著)と作りの勝手が良くなっている印象を受けた。今回は全体の見直しを含めた4年間だったので次が本当の勝負。

PVで御披露目してたパイロットウィンドウに複数人が分割表示される演出は嬉しい盛り上がりポイント。


  • 以上の事柄から来る「新規参戦作品」への期待

新規組の原作展開を重点に置く構築、キャラクター達の豊富なビジュアル、ユニットとしての運用と一作品あたりのボリュームを見直した土台作りで、今後の新規参戦とその活躍を期待出来るようになった。ここ数年、多くの作品とタイトルを出してリーチさせるのもひとつの手だったと思うけど、「その作品が好きなユーザーを喜ばせること」に立ち返ったのは良い傾向だと思う。何よりもそうすることで自然とゲームとしてのバリューも付いてくることをシミュレーションパートで再認識させられたのが大きく、真に基本に立ち返ったタイトルとも言えるんじゃないでしょうか。


  • 水星の魔女周り

原作エピソードこそ再現はするものの辺境のコロニーでの揉め事レベルの出来事で終了してしまったのでストーリー全体の大きな流れにどうしても乗り切ることが出来ず、新規作品の中でも最大級の目玉として用意されているであろう作品故にこの扱いは意外であり個人的にも残念だった。エーアデントの設定はゴジラS.Pやダイナゼノンの兼ね合いもあれど水星の魔女を意識しての作りなのは間違いなかったと思うけど、それにしては機会を逃したようで勿体ない。


  • 話の山場作りは一歩足りず

後継機や武装追加がメインとサブ両方のシナリオで淡々としており相変わらず盛り上がりに欠ける。

「原作の展開をなぞるマップ」に関してはテキストレベルで他所の作品が絡むことはあっても上述のように別作品の介入&ユニット強化で展開が補強&変化したりも少ないし、「異なる作品同士の原作シナリオを同じマップ上で掛け合わせる」ことも滅多にない…と、終盤ほぼ一本線になっていく段階でも大きな変化が見受けられなかった点では、フリーシナリオ制だとか以前に正直アイデアや練り込みが不足しているように思えた。

キャラクター双方の関係が強調されている組み合わせは序盤から結構いる(解り易くちせとエチカとか)ので、この辺のパワーアップイベントはマップ単位で大事にして欲しかった。原作からの展開の変わらなさが復活のルルーシュあたりの30でメイン扱われた続投組なんかには特に響いていて、次もこの味が続くと流石にキツそう。上で書いたように土台作り、特に演出面では良い方向に向かっているので、ここをあと先に一歩踏み出せれば…と思わずにはいられない。

フレイア×エラン×オリビーの誕生日イベントとか、イズルの超フルバーストモード×AXIA(原曲パックのみ!イベント戦闘に挿入くらいまでやってくれ!)とかにはエーアイスパロボ味を感じたので是非ともこの方向で昇華していって欲しい。


  • 横方面の充実=関係性の広さは相変わらず◎

キャラクター同士が多方面に絡むようになったのは30に続いてフリーシナリオ制の良いとこであり、今回は街の生活風景が常についてまわるので普段の戦いとは別口のアプローチも多く面白かった。特殊台詞も新規作品を中心に変わらず多く収録していてボス戦のアツさもしっかり保ってる。

ダイナゼノンリライブはその存在は勿論のこと、メインサブ双方のシナリオで優勢思想の4人がたくさん描かれていたのもあり入手の喜びもひとしお。火力と補助で大いに活躍して、愉快痛快な台詞パターンで笑わせてもらい文句なしの隠し要素だった。


  • ダンバイン!
ヴェルビンが正式に(?)シオンの後継機として扱われる、ギャブレーとの意外な(声の)絡みで精神的な成長を果たし味方化するバーン、オリジナル方面とも関係が厚いシーラ&ドレイク、もう許してやれよとこれまた予想外なオチを迎えたショット、と流用の力もあれどボリューミーに扱ってくれたダンバイン周りは嬉しい限り。昨今の味方側のインフレで存在が薄まっていた分身とオーラバリアが活きる場面もあり、新たな精神コマンド「重撃」で真に火力と切り込み役をやってみせた聖戦士たちは獅子奮迅の活躍。過剰なくらいにちょっかい出してくるドレイク軍はシステムの性質上予想してたもののポセイダル軍と合わせて人によっては鬱陶しく思えたのかも。

とにかくUX以降参戦する度に異なるアプローチでゲーム体験を支えてくれる大きな存在。ありがとうね!


・今後の展開

SEED、水星、Δあたりが目立って先の示唆がなされるのはファンサとも解釈出来るけど、やはりというか最終話後も自軍が解散せず居座っている時点でエキスパンションパスは確実。

続編作品を扱うとして、有料コンテンツなのはともかく本編クリアを条件とするのはかなり強気じゃないか?個人的にはリライブに続いてS.Pのメカゴジラを捏造して欲しかったりする。なんだったんあれ!


・現時点の総評

山場作りや過去作の流用とやっぱりなぁ~と思うところはあれど、別口のアプローチや補強は確かにあり今後の伸びしろを感じさせるスパロボだった。

所感はVに近いけど、今後暫くは短スパンじゃないと明言されてるのは今となっては希望が大きい。俯瞰的に見るとシリーズの入門としてはこれ以上ない出来。コンテンツの存続はひとまず大丈夫?でしょうて。

でこんなこと書いてる間に公式がシナリオライターの募集を始めてた、いいぞもっとやれ!!


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